リーダーシップ論―いま何をすべきか


ビジネス社会は大変革の時期を迎え,優れたリーダーシップがかつてないほどに求められている。とはいえ,重要なことは誰にもわかっているが,一方でとらえどころがないのも,このリーダーシップというものである。本書は,アメリカビジネス社会の生々しい実例をもとに,その本質に迫ろうとした好著。
著者によれば,リーダーシップとは「人と組織文化に訴えることで機能する柔軟で熱いもの」であり,変革の根源的な原動力となる。予算,統制,人員配置などによって既存のシステムを運営するマネジメントと混同される傾向があるが,まったく別物である。マネジメントは公的組織ルートを通じて実行されるのに対し,リーダーシップは非公式の人的ネットワークを構築して組織に働きかける。したがってその発揮のためには,人を心底から動かすための力をいかにして獲得し効果的に行使するかが,本質的に重要な課題となる。

著者は,ハーバード・ビジネス・スクールの教授。1000回以上のインタビューを含む企業調査で収集した事例を整理し,具体的な方法を述べている。人々の信頼をかち取る正攻法のほかに,恩を売り,懐柔し,反対に回りそうな人には花をもたせてとり込む,時にマキャベリスティックにさえ見える術策も取り上げる。個人単位で仕事に取り組むアメリカのビジネスマンにとって,これは日本以上にリアルな現実なのだろう。

変革に着手したら,みなが究極の成功を確信できるような証拠を早いうちに見せつけよ,などというアドバイスは,アメリカならではのものであり,日本の場合の時間的視野は少し長いと思う。ビジネス風土の違いは念頭においておく必要があるが,この問題を真剣に考えている企業人には,学ぶところが多い本であろう。

【目次】
序章 リーダーシップの未来/第1章 リーダーとマネジャーとの違い/第2章 人を動かすパワーをどう獲得し行使するか/第3章 上司をマネジメントする/第4章 変革プロセス・その八段階/第5章 変革への抵抗にどう対応するか/第6章 有能なゼネラル・マネジャーの行動